ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社

Interview 03

ソニーグループで一体となり、
ディスプレイデバイス開発に向けた装置立ち上げを進める。

Interview

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2002年入社
DD製品部門

坂口 和樹

前職は某大手電機メーカーのプロセスエンジニアで、2年半ほどデバイス量産機の立ち上げ等に従事。大学院時代に専攻した導電性高分子を独自の成膜プロセスで素子を組む研究が仕事に活かせると考えてソニーセミコンダクタマニュファクチャリング株式会社(以下、SCK)を志望した。
※2022年2月取材当時所属

Career Step

  • 液晶デバイス撥水処理装置
    立ち上げ担当
  • 有機EL真空一貫蒸着装置の
    量産機立ち上げ
  • ディスプレイデバイス
    組立実装工程の海外工場移設

スケールの大きな素子開発がしたいと
思いSCK入社

1 Year

私は大学院を修了後、大手電機メーカーに新卒入社してプロセス技術を学び、ある電子部品の量産機立ち上げに携わっていました。そんな中、プライベートでの怪我で1ヶ月ほど入院することになり、時間を持て余す中で自分自身の人生を見つめ直したところ、「大学院で学んだことや今まで培ってきたスキルを活かしてさらにスケールの大きな仕事がしたい」「できれば最終製品の形態に近く、特性の向上が製品力に直結するデバイスを手掛けたい」という考えに至り、この2つの希望を満たせる転職を決意しました。そして、双方を満たせるのがSCKでした。入社後、配属されたのはディスプレイデバイスに関わる部署で、最初は液晶ディスプレイの新型撥水処理装置の開発を担いました。液晶ディスプレイは水分の侵入によってダメージを受けることから、寿命を延ばすために表面に水をはじく撥水処理をしなければなりません。この新型撥水処理装置の主な要求仕様は、製造リードタイム時短化と低発塵仕様でした。ディスプレイ自体の性能向上に関わる業務ではありませんでしたが、ディスプレイの製造原価、品質に直結する業務でした。この間にディスプレイ製造に関する知見を深めることができました。

担当プロジェクト・業務
プロジェクター向け液晶デバイスの
新型撥水処理装置の開発
育成プログラム・研修制度
ディスプレイデバイスビジネス概論
液晶ディスプレイ概論
液晶組立実装プロセス技術
ソニーシックスシグマ研修

希望通り手応えの大きな巨大設備の
立ち上げに参画

3 Year

入社して3年ほど経った頃、私が転職前に思い描いていたスケールの大きな仕事に携わるチャンスが訪れました。それが、有機EL成膜装置を立ち上げるプロジェクトへの参画です。これは、デジタル一眼カメラに搭載される電子ビューファインダー用の小型有機ディスプレイを製造するプロセスのコアとなります。増産及びBCP対策の一環で、他工場にある設備と同等のものを熊本に立ち上げることになったのですが、その規模に圧倒されました。延べ75メートル、190トンの真空装置は見たことがないほど巨大でした。その真空装置内を300mm口径のウェーハが搬送され、成膜プロセスを経ていくのです。一方で、装置サイズとは対照的に有機ELの膜厚制御は極めて緻密。いくつもの有機材料を、ミルフィーユのように重ねていくのですが、各膜厚層の精度は±1nm以下という厳しい値を保証しなければなりませんでした。装置の仕様決定から始まり、装置の搬入、動作確認及び検収、成膜評価、デバイステストを終え、ようやく生産開始と思ったら、すぐさま新装置の立ち上げが待っていました。

何とかやり遂げられたのは、SCKに手厚い教育の機会があったからです。私の所属する部門内だけでも50種類以上の新入社員・中途入社社員向け座学講義がありました。講師は講義内容の技術や事業を社内で担当しているリーダークラスの社員ですから、最先端エキスパートの技術や業界内知識、最新情報をダイレクトに学べました。こうした教育制度や毎日の仕事を通して中身の濃い経験を積んだことが、現在の技術の礎になったのだと思います。また、量産開発を担うSCKと要素技術開発を担うSSS(ソニーセミコンダクタソリューションズ)から集まったエンジニアたちが一体となって、お互いの持っている情報と知識を補完し合い、トラブルの数々を乗り越え、試作から量産へと進めていくダイナミックな環境が、スキルアップを刺激したのは間違いありません。

担当プロジェクト・業務
デジタル一眼カメラ及びVR/AR向け有機ELデバイス
有機EL真空一貫蒸着装置の量産機立ち上げ / 新スパッタ装置の立ち上げ / スパッタプロセスの歩留改善
育成プログラム・研修制度
マイクロOLEDデバイス/蒸着プロセス技術
英会話研修
坂口和樹がパソコンに向かう様子
7 Year

積み重ねた確かなスキルを
海外で発揮していく

ディスプレイデバイス製造のコアとなる成膜装置の立ち上げスキルを獲得した私に、思いもよらぬプロジェクトのアサインが打診されました。2022年春よりタイに家族と共に赴任し、バンコク近郊にあるソニーの工場にディスプレイの製造ラインを立ち上げて、稼働後も安定生産のために3年間にわたって技術支援をするというミッションです。今日まで磨いてきたスキルを活かし、組立工程、テスト工程、設備維持管理に至るまですべて任されることになっています。そのために、実務を一旦離れて後工程とマネジメント、そしてビジネス英会話と初歩的なタイ語の勉強に多くの時間を割いています。また、そのための充実したサポートも会社から受けています。今から現地で活躍するのが楽しみです。

担当プロジェクト・業務
ディスプレイデバイス組立実装工程の
海外工場移設
育成プログラム・研修制度
英会話研修
組立工程、検査工程、デバイス業務の個別教育